内容証明が届いた時に取るべき対応|歯科医院が知っておきたいポイントとは

五十嵐沙織弁護士
五十嵐沙織弁護士
(第一東京弁護士会)
この記事の監修者:
五十嵐 沙織(弁護士法人広尾有栖川法律事務所)
中央大学大学院法務研究科修了。freee株式会社にて企業内弁護士として東証マザーズ(現グロース)の上場を担当。現在弁護士法人広尾有栖川法律事務所を開業し、スタートアップ企業の伴走支援や、医療、人事労務に注力。弁護士のプロフィールはこちら

患者様から内容証明が届いた際、歯科医師の方は驚きや不安を感じるのではないでしょうか。

突然の出来事に焦ってしまうこともありますが、受け取った段階で直ちに歯科医院側の非が認められるわけではありません。

まずは落ち着いて事実を確認し、適切な手順で向き合うことが求められます。

本記事では内容証明が届いた時に取るべき対応、弁護士に相談するメリットなど、歯科医院が知っておきたい点を解説します。

内容証明郵便とは

内容証明郵便は、郵便局が「いつ、誰が、どのような内容の文書を誰宛てに送ったか」を郵便局が証明してくれるサービスです。

発送した文書の控え(謄本)が郵便局で保管されるため、受け取り側が「届いていない」「内容が異なる」と主張することを防ぐ効果があります。

歯科医院宛に内容証明郵便が届くケースとしては、患者様側が治療への不満や損害賠償の請求などについて、記録に残る形で意思表示を行いたい時に利用されます。

あくまで「書面を送った事実」を証明するものであり、記載された内容が真実であることが保証されるわけではありません。

内容証明が届いたときに取るべき対応

事実確認から専門家への相談まで、歯科医院が優先して取り組むべき手順を解説します。

まずは書面の内容を冷静に確認する

患者様から内容証明郵便が届いた際は、まず落ち着いて書面を読み込み、相手方の要求を正確に把握してください。

内容証明郵便は、受け取った段階で直ちに歯科医院側の過失が確定するわけではありません。

書面を確認する際は、返金の要求なのか、損害賠償の請求なのか、謝罪を求めているのかを明確に切り分けましょう。

トラブルが起きたとされる日時や治療部位、不満の理由といった詳細も細かくチェックしてください。

事実関係を整理して記録を集める

書面の内容を確認した後は、歯科医院側が保管している客観的な資料を集めます。

該当する患者様のカルテ、レセプト、口腔内写真、レントゲン画像、歯科用CT、治療前の同意書などが対象です。

集めた情報を基に、初診から現在に至るまでの治療経過を時系列で整理したメモを作成します。

実際に処置を担当した歯科医師や歯科衛生士から、当時の状況や患者様との会話内容について詳しく聞き取りを行い、事実関係を明確に記録に残してください。

時間の経過とともに記憶が曖昧にならないように、早急に記録としてまとめておくことが望ましいです。

その場で返答せずに院内で協議する

焦って不適切な発言をしてしまうと、かえって患者様に不信感を抱かせ、後の交渉や裁判で歯科医院側に不利となるリスクがあります。

まずは院長や関係スタッフで話し合いの場を設け、医院全体としてどのように向き合うか方針を固める必要があります。

患者様から強引に回答を迫られたとしても、安易に示談金の話をしたり、念書へ署名や捺印をしたりしてはいけません。

「内容を精査した上で後日回答する」とだけ伝え、冷静に対処する姿勢を取ってください。

また、全スタッフに対して、窓口での対応ルールを共有しておく体制を整えておきましょう。

弁護士に相談してアドバイスを受ける

歯科治療に関するトラブル対応には、医学知識を前提とした専門的な法的判断が求められるため、医療事件の知見のある弁護士に相談すると安心です。

弁護士は、患者様側の要求に正当な理由があるかどうかを客観的な視点で分析し、適切な解決策を提示します。

回答書を作成する際も、歯科医院側の責任範囲を明確にして、不当な譲歩を避けるための回答内容をアドバイスします。

弁護士が窓口となって交渉を進めることで、院長が患者様と直接対峙する負担が減り、本来の診療業務に専念できるでしょう。

内容証明を無視や受け取り拒否した場合のリスク

書面を読まずに放置したり、受け取りを拒否したりする行為は、歯科医院にとって不利益を招きます。

信頼を損なったり、裁判に発展したりするのを防ぐため、内容証明の無視や受け取り拒否した場合のリスクについて把握しましょう。

不誠実な印象を与えてしまう

患者様から届いた書面を読まずに放置したり、受け取りを拒んだりすると、相手側に「問題から逃げている」というネガティブな印象につながってしまいます。

たとえ歯科医院側に落ち度がなく、医療行為が適切だった場合でも、話し合いを拒否する姿勢は不信感を与えかねません。

一度不信感を持たれると関係修復は難しくなり、深刻な対立に発展するケースも想定されます。

地域の皆様に信頼される医療機関としての看板を守るためにも、まずは書面の正面から受け止め、真摯に向き合う姿勢を見せることが先決です。

交渉での解決が困難になる

内容証明郵便を無視し続けると、当事者同士の話し合いによる解決案を自ら手放すことになります。

多くの患者様は、最初から裁判を望んでいるわけではなく、まずは歯科医院側の回答を聞いた上で納得できる妥協点を探そうと考えています。

しかし、無視や受け取り拒否を繰り返すと、患者様側は「話し合いでは解決できない」と判断し、示談交渉を諦めてしまいます。

早期に柔軟な解決を図るチャンスを逃すことは、歯科医院にとって大きな打撃となるでしょう

訴訟に発展する可能性がある

内容証明を放置したままにすると、最終的に調停や訴訟へ発展することも起こり得ます。

患者様側は、歯科医院から無反応であれば、法的強制力のある手段に頼るしか解決の道はないと考えます。

また、内容証明を無視し続けてしまうと、「問題解決に協力的でない」という不利な心証を与える要因になりかねません。

裁判を避けるためには、書面が届いた段階で適切に応答して、協議により訴訟外での決着を目指すべきです。

内容証明が届いたときに弁護士に相談するメリット

弁護士が窓口になることで、精神的な負担を減らしながら論理的な解決を目指せます。

内容証明が届いたときに弁護士に相談するメリットについて解説します。

適切な回答書を作成してもらえる

患者様への回答書は、患者様側に証拠資料として保管されることになるため、慎重に内容や文言を吟味して回答書を作成する必要があります。

弁護士に相談すれば、カルテや当時の状況を法的な視点から分析し、歯科医院側の正当性を守りつつ、無用な対立を招かない書面を作成してもらえます。

弁護士が作成する書面は、相手方に対して客観的資料に基づき法的な正当性を示すことができるため、不当な要求を抑止する効果も期待できます。

訴訟への備えができる

内容証明郵便が届いた段階で弁護士が介入することで、将来的に裁判へ発展した場合を見据えて準備を始められます。

訴訟では客観的な証拠が結果を左右するため、カルテや同意書等を確認し、情報の整理や証拠の確保を行うのが得策です。

裁判で争点となりやすいポイントを事前に把握しておけば、場当たり的な対応を避け、一貫性のある主張を組み立てられます。

また、早期から法的リスクの度合いを把握しておくことで、歯科医院経営への影響を予測し、落ち着いて対処できるようになります。

患者対応を任せられる

患者様との交渉窓口を弁護士に任せられることで、安心して業務に専念できる点もメリットです。

直接、患者様とやり取りを行うことは、本来の診療業務に支障をきたす原因になりかねません。

弁護士が代理人として交渉を代行すれば、感情的ではなく、法的な観点から折り合いをつけて話し合いを進められます。

院長やスタッフが疲弊するのを防ぐためにも、対外的な窓口を弁護士に依頼するのは合理的です。

早期解決につながる

弁護士が介入することで、トラブルの論点が整理され、早期の解決が現実的になります。

当事者同士では解決の糸口が見つからず、平行線を辿りやすい問題であっても、弁護士が解決案を提示することで、相手方が納得して早期和解に応じる可能性が高まります。

また、不当な要求に対しては法的な裏付けをもって毅然と拒絶するため、相手方が過度な主張を取り下げ、問題が泥沼化するのを防ぐ効果もあります。

訴訟に発展して何年も争い続けるコストや負担を考えると、早期から弁護士に依頼することで、歯科医院の損害を最小限に抑えられるでしょう。

まとめ

内容証明が届いた際は、落ち着いて書面を読み込み、診療記録などの資料を揃える準備から始めましょう。

無視や受け取り拒否は避けて、弁護士からアドバイスを受けることが解決への近道です。

弁護士法人広尾有栖川法律事務所は、医療事件の経験が豊富な弁護士が、現場の目線に立ったリーガルサービスを提供しています。

現場の事情を深く理解しているからこそ、納得感のある解決策を提示いたします。

オンラインでの相談も受け付けておりますので、お困りの際は弁護士法人広尾有栖川法律事務所までご相談ください。

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