歯科医院では、患者さんとのやり取りがスムーズにいかず、対応に時間がかかることがあります。
特に、無理なお願いを繰り返したり、不安からたくさん質問をする患者さんがいると、他の患者さんへの影響やスタッフの負担が大きくなりがちです。
クレームを受けている状況でも、適切に対応することで患者さんとの信頼関係を保ちながら、医院全体の運営をスムーズに進めることができます。
本記事では、「めんどくさい患者さん」の特徴と、歯科医院で役立つ対応のコツや対策について、分かりやすくお伝えします。
目次
歯医者に来院するめんどくさい患者さんの特徴とは
歯科医院に通う患者さんの中には、治療や対応に対して過剰な期待を抱いたり、不安から特定の行動を繰り返す人がいます。
一連の行動は、スタッフの業務を妨げたり、他の患者さんに影響を与えることもあります。
適切に対応するには、患者さんの特徴を知ることが大切です。
無理な要求を繰り返す
診察の順番を飛ばしてほしい、特別な治療を保険で受けたいなど、無理な要求を繰り返す患者さんは、歯科医院で対応が難しいタイプの一つです。
無理な要求を繰り返す患者さんは、自分の希望を最優先に考えるあまり、歯科医院のルールや他の患者さんへの配慮に気が回らない場合があります。
対応する際は、診療方針やルールを分かりやすく説明し、なぜ希望に応えられないのかを丁寧に伝えることが大切です。
また、話を聞く際には共感の姿勢を示しつつも、毅然とした態度で対応することが求められます。対応が曖昧になると不満が膨らむ可能性があるため、冷静かつ明確な説明を心がけましょう。
度重なる不安から質問や相談が多い
治療や診療について、何度も質問や相談を繰り返す患者さんは、不安や心配を抱えていることが少なくありません。
特に、過去に歯科治療で嫌な経験をした方や、自分の症状がどれくらい深刻なのか分からず不安な方に多い傾向があります。
何度も質問や相談を繰り返す患者さんには、安心してもらえるよう、話をじっくり聞き、要点を簡潔に伝えることが重要です。
ただし、相談が長時間にわたり他の患者さんの診療に影響が出そうな場合には、時間を決めて対応することも大切です。
あらかじめ診察時間を案内したり、聞き取りの場を別に設けたりすることで、双方にとって負担を減らすことができます。
治療結果に過剰な不満を抱いている
治療が終了した後も、結果に対して何度も不満を伝えてくる患者さんは、特に自由診療や審美治療に多く見られるタイプです。
例えば、治療結果が医学的には問題ない場合でも、見た目や感覚が自分の理想と異なると感じることで不満を抱くことがあります。
上記のようなケースでは、初診の段階から治療の限界や考えられるリスクについて丁寧に説明することが大切です。
また、患者さんが抱える期待値を共有し、納得した上で治療を進めることで、トラブルの発生を防ぎやすくなります。
治療後もフォローアップの機会を設けることで、患者さんの安心感を高める工夫が求められます。
他院でトラブル経験がある
以前通っていた歯科医院でトラブルがあった患者さんは、新しい歯科医院でも同様の問題を引き起こす可能性があります。
例えば、以前の医院に対する不満やトラブルの内容を話題にすることが多い患者さんは、過去の経験から不信感を抱えている場合があります。
他院でトラブル経験がある患者さんに対応する際は、初診時に丁寧に話を聞き、患者さんの不安や疑問を解消することを心がけましょう。
また、医院としての診療方針をきちんと伝えることで、誤解やトラブルを未然に防ぐことができます。診療内容について記録をしっかり残しておくことも、後々のリスク管理に役立ちます。
診療費の支払いを渋る
診療費の支払いに難色を示したり、支払いを後回しにする患者さんもいます。費用が高額に感じられる場合や、治療内容に納得がいかない場合に発生しやすい問題です。
診療費の支払いを渋る患者さんへの対応としては、診療前に治療費の見積もりを詳細に提示し、分かりやすく説明することが大切です。
また、費用に関する不満がある場合には、その背景を丁寧に聞き取った上で、可能な限り柔軟に対応する姿勢を見せることで、信頼関係を築くことができます。
分割払いの提案なども、患者さんにとって安心できる選択肢の一つになるでしょう。
歯医者のめんどくさい患者さんからクレーマーになるリスク
歯科医院で診療を受ける患者さんが、誤解や不安からクレーマーに変わってしまうケースは珍しくありません。
患者さんが医療に対して過剰な期待を抱いている場合、「治療を受ければ必ず治る」という誤解が不満を生む原因となります。
患者さんの誤解が放置されると、不信感が募り、最終的には強いクレームに発展する可能性があります。
また、歯科医師やスタッフが患者さんの話を十分に聞かない、あるいは共感を欠いた対応をしてしまうことも、患者さんを不安にさせる要因となります。不安が解消されないままでは、患者さんは自分の症状が軽視されていると感じ、不満が増大します。
治療結果が患者さんの期待と異なる場合や、説明が不十分で患者さんが納得していない場合には、トラブルが起こりやすくなります。
さらに、問題が発生した際に、患者さんの気持ちに寄り添わないと、問題の根本が解消されず、クレームが長引く可能性があります。
患者さんがクレーマーになるリスクを防ぐためには、患者さんの不安や疑問に丁寧に対応し、信頼関係を築くことが欠かせません。スタッフ全体で患者さんとの適切なコミュニケーションを心がけることが重要です。
歯科医院におけるクレーマー対策と対応方法
歯科医院では、患者さんからのクレームに丁寧に対応することが大切です。
患者さんの気持ちに寄り添いながら、意図を汲み取ることで医院への信頼を保つことができます。
また、事前に対策を整え、スタッフ全員で対応方法を共有しておくと、スムーズに解決へと導くことができます。
患者さんの話をしっかり聞くことが大切
クレームが発生した際には、まず患者さんの話を最後までじっくりと聞くことが大切です。
途中で話を遮ったり、反論や説得をしようとすると、患者さんは「自分の気持ちを無視されている」と感じ、不満がさらに大きくなってしまうことがあります。
一方で、しっかり話を聞くことで、「自分の思いを理解してくれた」と患者さんが感じ、気持ちが落ち着きやすくなります。話を聞く中で、不満の背景や根本的な原因を引き出すことで、適切な対応が可能になります。
また、患者さんが繰り返し同じことを話している場合、それが最も大事なポイントである可能性が高いため、丁寧に耳を傾けることが解決への重要なステップとなります。
落ち着いて話せる環境をつくる
クレーム対応では、患者さんが安心して話せる環境を整えることが大切です。
受付や待合室のような人目の多い場所では、患者さんが感情的になりやすく、冷静な対話が難しくなることがあります。
そのため、別室や静かなスペースに案内し、患者さんに集中して話してもらえる状況を用意することが重要です。また、電話でのクレーム対応では、「後ほど改めてご連絡します」と伝えることで、双方が冷静になり、話を整理する時間を確保できます。
環境を整えるだけで、対話がスムーズになり、解決に向けた話し合いが進みやすくなります。
共感の気持ちを言葉にする
クレームを伝える患者さんは、誤解や不安から感情的になっていることが多く、その気持ちに共感する姿勢を見せることが大切です。
「大変ご不安だったかと存じます」「お待たせしてしまって申し訳ありません」など、患者さんの気持ちに寄り添った言葉をかけるだけで、安心感を与えられます。
共感の言葉は、患者さんに「この人は私の話を理解してくれている」と思わせ、冷静さを取り戻すきっかけとなります。
また、表情や態度にも共感を込めることで、患者さんとの信頼関係をより深めることができます。
院内で対応方法を統一する
クレームに迅速かつ適切に対応するためには、対応の手順や役割分担を明確にし、院内全体で共有することが欠かせません。
初期対応を行うスタッフやその後の連絡役を決めておくことで、対応がスムーズになります。また、クレームの記録方法や、解決に向けたステップをあらかじめ定めておくと、患者さんに一貫性のある対応を提供できます。
対応が統一されていれば、患者さんに安心感を与えるとともに、スタッフ全体の負担を軽減する効果も期待できます。
記録をしっかり残して備える
クレーム対応の際には、患者さんとのやり取りや経緯を丁寧に記録することが重要です。
残した記録は、再発防止策を検討する際や、次回以降の来院時にスムーズな対応を行う際に役立ちます。
また、院内で情報を共有することで、スタッフ全員が状況を把握し、対応の質を保つことができます。さらに、トラブルが長引いた場合には、客観的な証拠としても活用できます。
広尾有栖川法律事務所について
広尾有栖川法律事務所は、企業や個人のお客様の多様なニーズに応える法律事務所です。
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